航路標識の話

7. 電波標識のしくみ

 電波標識の説明をする前に、電波について少し考えてみましょう。
 光(光波)は目に見えますが、電波は見えません。電灯をつけている電気が電線の中を流れているのが見えないのと同じように、電波も私たちの目には見えません。
 しかし、空中を遠くまで飛んでいく電波は、アンテナでつかまえれば、テレビ受像機きの中で絵えや歌を取りだして、映出したり音楽を聞いたりすることができるのです。
 このようにテレビは、遠くにあるものでも、また、昼でも夜でも、雨が降っても雪が降っても見ることができます。

 

 

 みなさんは、テレビのアンテナがテレビ電波を出している放送局の方向に向むいていることを知っているでしょう。そして、このアンテナの向きがずれると、テレビの絵が映らなくなったり、または映りが悪くなったりすることがあるのを知っているでしょう。
 これは電波が、光と同じようにまっすぐに進む性質を持っているからです。そのうえ、光とくらべて波長が長いので、こい霧や雪の時でも遠くまでとどく性質をもっているのです。
 みなさんは、もう気がつきましたか。
 そうです。電波の、この特ちょうを生かして、灯台の光がとどかない遠洋でも、霧や雪の日で灯台が見えない時にも利用できるようにしたのが、電波の灯台─電波標識です。
 電波には、また、テレビに使っているもの、ラジオに使っているもの、無線通信に使っているものなど、波長によっていろいろの種類があることは、みなさん知っているでしょう。しかし、たとえ種類が違っていても電波の速さはみんな同じなのです。
 わかりやすくするために、池に石を投げ込んだ時のことを考えてみましょう。
 大きな石を投げた時は、大きな波が立ち、小さな石を投げた時は小さな波が立ちますね。しかし、波の大きい小さいにかんけいなく、波が岸にとどくまでの時間は同じです。

 

 

 電波も同じように、波の大きさがいろいろちがうものがありますが、波の進む速さは同じです。これは電波を利用するうえで大切な性質です。
 また、最近は時間を正確にはかることができるようになったり、人工衛星をたくさん飛ばす時代となったので、この電波の性質を利用する技術も発達し、電波の灯台(電波標識)がつぎつぎとたんじょうして、いつでも、どこでも利用できるようになりました。
 電波標識を利用するには、目に見えませんので、電波を受けるための受信機を持つことが必要ですが、今では陸岸を遠くはなれて航海するほとんどの船が持っていて、航海の安全をはかっています。
 では、これからさっそく電波標識の種類やはたらきについて、お話しましょう。

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